秩父地域には年間300以上の祭りがあるとされています。この祭りは、秩父地域の人たちのつながりを強め、苦楽と共にしながらこの地域のコミュニティを維持してきたと言われています。
横瀬町でも各地区で祭りが行われてきました。「宇根の春祭り」はその一つです。正式名称は、「宇根八阪神社例大祭」といいます。
春祭りの様子
これは横瀬町の宇根という地区にある八阪神社のお祭りのこと。この祭りが来ると、春の訪れを感じる人も多いのだとか。
横瀬町各地区で行われてきたお祭りですが、こうして大きなお祭りとして行われているのは、宇根地区くらいだそう。この祭りが宇根という地域の人の結びつきを強めているのはこの祭りの存在が大きいそうです。
お祭りの実施について賛成する人たちが挙手している場面です。
この日は、氏子(自分の住む地域を守る神を「氏神」と言い、その地域で住む人を「氏子」と言います)の集会がありました。神様を祀るお祭りでは、こうして各地域の住民の中で参加できる氏子が集会に参加して、今年は祭りを行うのかどうかから話し合います。
一番前にいるのが役員さんたち(**「大行事(おおぎょうじ)」と呼ばれています)、「宇根若」と呼ばれる35歳以上で祭りを率いていく人たち、「青年部」**という氏子の中でも若い人たちなどが参加しています。
氏子集会終わりの後の、氏子さん同士の交流の様子
この日の氏子集会では、今年のお祭りの実施が決まっただけではなく、氏子の方々からどのような形での実施がいいのかを含めて意見が交わされました。氏子集会自体は30分ほどで終わります。
駅から徒歩3分も経たないところにあります。
コロナ禍でできなかった、笠鉾を曳き回す「付け祭り」の実施が4年ぶりに決まったこともあり、今年は氏子集会が終わったのちに、竹切りに向かいました。横瀬駅からすぐそばにある歯科の裏にある竹林から切り出していきます。この竹は、山車である「笠鉾」の花を作る際に利用されます。竹を切り出し、後日細く薄く切り、その竹に造花などをつけて飾ります。竹をきる作業は以前はその道の専門の人が中心に行っていたそうですが、高齢化や人不足な状況もあり、コロナの数年前から氏子の人たちが多く手伝うようになったようです。
竹林の中の様子。
長年の経験のある人たちが竹林の中に入っていき、笠鉾に適切な竹を選び切っていきます。なるべく真っ直ぐ成長した竹が好ましいようです。10数メートルはある竹が切られ倒れていく様子は圧巻です。人が下敷きにならないように、竹の先端を思いっきり引っ張って、竹林の中から竹を出していきます。
切り出した竹はさらに4〜5mほどに分けて切っていきます。最終的には4m20cmくらいに整えていくそうですが、まずは運べるくらいの大きさに切っていきます。
大野さんの見事な竹切りさばき
切られた竹。
この祭りが行われ始めた頃の明治の頃には、この辺りには竹林が多く存在していました。こうして日常的な風景としての竹だったからこそ、笠鉾の資源として利用され始めたそうです。ちなみに竹の根をはる力は相当なものらしく、近くの畑にいきなりぽっと竹が生えてくることがあるそうで、そこまで根が伸びるほどの成長力があるそうです。